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東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)37号 判決

原告

細川茂

原告

細川隆

被告

特許庁長官

井土武久

主文

本件訴訟のうち、登録第七七九、五九〇号実用新案の登録を無効とするとの判決を求める訴えを却下する。

事実および理由

原告らは、本件訴訟の請求の趣旨第一項(裁判長の補正命令に対する原告らの昭和四六年四月二六日付「補正命令に対する請求の趣旨を提出」と題する書面のうち、請求の趣旨(1)の部分)において、登録第七七九、五九〇号実用新案の登録を無効とするとの判決を求める旨申し立て、その請求の原因として、「登録第七七九、五九〇号実用新案「組立式ひな段用枠」は、昭和三七年一二月一七日赤瀬毅が登録出願し、昭和四〇年九月に登録されたものであるが、この実用新案は、それより先に出願され登録された登録第三〇九、五六七号意匠(昭和三七年一二月八日出願、昭和四五年一月一三日登録)と同一のものであるから、特許法の規定により、「後願」としてその登録を無効とすべきものである。原告らは、昭和四二年五月一九日特許庁に対し右実用新案の登録の審判を請求したが、審判官は右登録意匠にもとづく無効事由の有無について審理することなく、不当に審判事件を終結した」旨主張する。

これによつてみれば、原告らの右の申立ては、原告らが特許庁に対し審判の請求をした登録第七七九、五九〇号実用新案の登録無効審判事件において、特許庁が右実用新案の登録を無効とするとの審決をせず、審判の請求は成り立たないとの審決をしたことを不服とし、実用新案法第四七条にもとづき、第一審の専属管轄権を有する当裁判所に、右審決の取消しを求める訴えを提起する趣旨であると解するのが相当である。

しかして、実用新案法第四七条第二項、特許法第一七八条第三、四項によれば、審決に対する訴えは、審決の謄本の送達があつた日から三〇日を経過した後は提起することができないのであるところ、当裁判所の調査嘱託に対する特許庁総務部長の回答によれば、前記審判事件は、昭和四五年一二月一二日審決があり、その謄本は昭和四六年二月二七日原告らに送達されたことが認められ、一方、本件記録中の訴状に押捺された当裁判所受付印によれば、本件訴訟は昭和四六年四月八日に提起されたことが明らかであるから、本件訴訟のうち、右審決の取消しを求める旨の訴えは、出訴期間を経過した後に提起された不適法なもので、その欠缺は補正することができないといわなければならない。

よつて、民事訴訟法第二〇二条により、本件訴訟のうち、登録第七七九、五九〇号実用新案の登録を無効とするとの判決を求める部分の訴えを却下することとし、主文のとおり判決する。

(三宅正雄 杉山克彦 武居二郎)

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